6月のぶどう園

(詩・曲 Euca)

 

この雲はいつ晴れる 光だけ待ちわび
足元に 結びかけた若い実が落ちる

今ここで 今をなくしても
笑って 泥濘む土の上に
“運命だ”と 眠れるのか 夢の半ば

芽も種子もただ 流れゆき
傷む根に怯えて 揺らぐ木を
やがて迎えに来る夏は 招いている
視界 外れた陰


この日々はいつ終わる
朝へと明けゆく空に 塗りつぶされていく闇夜
“共に 呑まれたい”

広がる雲も 降り注ぐ雨も
誰の一声で去るのだろう
無力なこと 無力でいいこと
知らぬまま 徒にもがく

芽も種子もただ 流れゆき
傷みに浸っては 吸う泪
殖えて膨らむ 憂いの実
巡る定めを 選んでいるから

明日に 同じ今日を何度見ても
繰り返されるようで 過ぎているだけ
向かっていく 張り詰めた日の終わり


濡れて佇む 荒れた木も
実る未来の宿 甦れ

巡る定めを 抜けるとき
ほら やがて迎えに来る夏が 招いている
見上げた すぐ傍から

 


Euca’s Comment

 

6月は梅雨。長い間、雨が降って太陽は雲の中という、自力で動けない植物たちにとって大きな試練の時期。

それでも彼らは厳しい状況を受け入れ、力強く耐え抜き、生き延びて次の季節を迎える。

苦しむか苦しまないかは、実は選べること。

自力でどうにもならないことは必ずある。しかし状況を変えられなくても、視点や思考は変えられる。

時間は必ず流れていく。苦しい時に、苦しみつかれて命を消耗してしまったら力が残らない。

つらい今が過ぎ去って試練が終わる日を楽しみに、希望を持って未来を生きる元気を守り抜いてほしい。

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